古今集こきんしゅう)” の例文
「水茎の岡の館にいもと我と寝てのあさげの霜の降りはも」という古今集こきんしゅうの歌と、どこか共通の情趣があり、没落した情緒への侘しい追懐を感じさせる。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
子供たちのためにお手本を書くのみならず、このごろでは、娘たちのために古今集こきんしゅうを書いてやったり、行儀作法を教えたりすることもあるのです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古今集こきんしゅう』の長歌などははしにも棒にもかからず候へども、箇様かような長歌は古今集時代にも後世にも余り流行はやらざりしこそもつけのさいわいと存ぜられ候なれ。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
遠く『日本書紀』や『万葉集』や『古今集こきんしゅう』などにも、既に東北地方は紹介されてはいるのでありますが、それは記録としてであり、感想としてでありまして
高遠たかとお藩の方に聞こえた坂本家から来た人だけに、相応な教養もあって、取って八つになる孫娘のおくめ古今集こきんしゅうの中の歌なぞを諳誦あんしょうさせているのも、このおまんだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
平中は古今集こきんしゅうその他の勅撰集に多くの和歌をのこしているし、系図も一往いちおう明かであるし、その頃のいろ/\の物語に現れて来るので、実在した人物であることはまぎれもないが
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
が、謙信のかたわらには、めずらしく、古今集こきんしゅうか何かの和歌の書が読みさして伏せてあった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が『古今集こきんしゅう』や『新古今集』の歌を排し、ひとえに万葉集ばかりを推賞したのも、つまり古今や新古今やの歌風が生命している音楽第一主義について
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)