口風くちぶり)” の例文
「君達はむかし/\斜視睨みの男が牛を殺さうとした話を聞かなかつたかい。」と副統領は哲学者のやうな静かな、皮肉な口風くちぶりで話し出した。
佐藤氏は面目めんもくなささうな表情をして、子供のやうな内田氏の顔を見た。内田氏は内田氏できまり悪さうにもぢ/\しながらいつも慇懃いんぎん口風くちぶりで言つた。
亡くなつた足立通衛みちゑ氏の告別式が大阪青年会館で行はれた時、とむらひ演説をした宮川経輝つねてる氏は、霊魂たましひの一手販売人のやうな口風くちぶりで、名代なだいの雄弁をふるつて
「成る程さうだ、嬢ももう妙齢としごろになつたかな。」どうやら今日まで娘は胡瓜きうりと同じやうに、日に日に大きくなるものだといふ事を忘れてゐたらしい口風くちぶりだつた。
娘はこの世で結婚をした上に、天国でも今一度結婚をしたさうな口風くちぶりで訊きかへした。
豊和は何気ないふりで、色々と世間話を持出してゐたがふと思ひ出したやうな口風くちぶり