反故紙ほごがみ)” の例文
「おんとし二十と三にならせたまいて」とさぶは反故紙ほごがみの文字を読んでいた、「——おんとし二十三ていうと、おれたちとおないどしっていうわけだな」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その髪の毛の両端に小石を反故紙ほごがみにくるんで結びつける。仕掛けはそれだけで済む。それを手早くこしらえて、持っていって、あてもなくやんまのかがいの中に放り上げる。
さて、刑事が勿体もったいぶって持出した所の証拠物件なるものは、第一に一足の短靴、第二に石膏せっこうで取った所の足跡の型、第三に数枚のしわになった反故紙ほごがみ一寸ちょっとロマンティックじゃないか。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
時に五助は反故紙ほごがみしごいてすました剃刀かみそりぬぐいをかけたが、持直しててのひらへ。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
拳固げんこを固めてポカリと頭をたたき割ったら、鋸屑おがくずの脳味噌がバラバラと崩れ落ちて来た。胴を掴み破ると、ボール紙の肋骨ろっこつが飛び出した。その下から又、薄板の隔膜と反故紙ほごがみの腸があらわれた。
微笑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)