双紙ぞうし)” の例文
旧字:雙紙
なぜなら、おしょさんのうちには、くさ双紙ぞうし合巻ごうかんものが、本箱に幾つあったかしれない。それがみんな、ちょいと何処どこにもあるようなのではなかった。
秋の夜双紙ぞうし
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くさ双紙ぞうしの、合巻ごうかんかきでは、江戸で第一の人だったけれど、貧乏も貧乏で、しまいは肺病で死んだ。やっぱり七歳ななつぐらいから絵をおしえてくれた。その時分三十五、六だったろう。
紙帳のことは『浅間あさまだけ』という、くさ双紙ぞうしでおなじみになっている、星影土右衛門という月代さかゆきのたったすごい男が、六部の姿で、仕込みづえをぬきかけている姿をおもいだし、大きな木魚面の
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
大晦日草紙おおみそかぞうし」とかいったように覚えているが、くさ双紙ぞうしに、若い旦那だんな色里いろざと通いを、悪玉がおだてている絵があって、お嫁さんが泣いているのを見たとき、丸八の先代のことだとかいった。