厳丈がんじょう)” の例文
スパイたちはそんな物へは眼もくれなかった。伯爵夫人の指揮ですぐ腹部の釦鈕ボタンを開く。案のじょう、膚に直接厳丈がんじょう革帯ベルトを締めていた。ポケットがある。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
さて雪国の山家とて、けたうつばり厳丈がんじょうな本陣まがい、百年って石にはなっても、滅多に朽ちるうれいはない。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女はその時、自分の名前が非常に注意深い低さで呼ばれていることを、殆ど半信半疑で耳にいれた。この間際に、すては貝ノ馬介の厳丈がんじょうなすがたを山塞の入口に見出した。
黒塗りに光る醤油しょうゆ倉、腰板鎧こしいたよろい味噌みそ倉、そのほか厳丈がんじょうな石作りの米倉、豆倉。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)