加之おまけに)” の例文
お大は姉と違つて、ちひさい時分から苦勞性の女であつたが、糸道いとみちにかけては餘程鈍い方で、姉も毎日手古摺てこずつて居た。其癖負けぬ氣の氣象きしやうで、加之おまけに喧嘩がすきと來て居る。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
頬は肉付いて、むツくらこぶのやうに持上り、眼は惡くギラ/\して鷲のやうに鋭い、加之おまけに茶目だ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
小學校もろくに出ないやうな「自由劇場」の役者は遙かに勝れたる理解力を示した。加之おまけにあの役者達は、手馴れない泰西の戲曲を演じる事に對して異常な覺悟を持つてゐた。
丑松の空想は忽ち掻乱かきみだされて、ぞつとするやうな現実の世界へ帰るさへあるに、加之おまけに、文平が忸々敷なれ/\しい調子で奥様に話しかけたり、お志保や省吾を笑はせたりするのを見ると
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「お互にスツかり缺點あらをさらけ出してしまツたからよ。加之おまけに體力の不平均といふのもかさなる原因になツてゐる。自體女は生理上からツて娼妓しやうぎになツてゐる力のあるものなんだ、お前は殊にうだ!」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)