刑場けいじょう)” の例文
「当日、都田川みやこだがわ刑場けいじょうで、伊那丸を太刀たちとりやく、それも呂宋兵衛とそちとに申しつけてあるが、用意万端よういばんたん、手ぬかりはあるまいな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じょあん孫七まごしちを始め三人の宗徒しゅうとは、村はずれの刑場けいじょうへ引かれる途中も、恐れる気色けしきは見えなかった。刑場はちょうど墓原はかはらに隣った、石ころの多い空き地である。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
よくよく凝視ぎょうしするとおどろいたことには、それが、たったいま、刑場けいじょうのなかで首をおとされたはずの忍剣にんけん龍太郎りゅうたろう伊那丸いなまる主従しゅじゅう三人。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はたして、伊那丸の主従しゅじゅうは、らえられもせぬじぶんたちが、きょう刑場けいじょうられるといううわさを聞いて、奇異きいな感じに誘惑ゆうわくされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)