凸凹とつあふ)” の例文
それがこの寂寞の境の単調な時間の推移を示す天然の漏刻ろうこくかとあやまたれる。とこにはひどい凸凹とつあふがある。己は闇の中を辿つて行くうちに足を挫きさうになつた。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
蓮池れんち手前てまへからよこれる裏路うらみちもあるが、このはう凸凹とつあふおほくて、れない宗助そうすけにはちかくても不便ふべんだらうとふので、宜道ぎだうはわざ/\ひろはう案内あんないしたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、見渡す限りの大氷原で、その氷の面には甚だしい凸凹とつあふがあり、所々に水の見えてゐる割れ目があつても、それはあまりに狭いし、適当な着水場所が見当りませんでした。
北極のアムンセン (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
表街おもてまちの人道にてこそすなをもけ、すきをも揮へ、クロステル街のあたりは凸凹とつあふ坎坷かんかの処は見ゆめれど、表のみは一面に氷りて、朝に戸を開けば飢ゑこゞえし雀の落ちて死にたるも哀れなり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)