おしまずき)” の例文
一抱えに余る柱を立て並べて造った大廈おおいえの奥深い広間に一間四方の炉を切らせて、炭火がおこしてある。その向うにしとねを三枚かさねて敷いて、山椒大夫はおしまずきにもたれている。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
近頃は作者夥間なかまも、ひとりぎめに偉くなって、割前の宴会のみかいの座敷でなく、我が家の大広間で、脇息きょうそくと名づくる殿様道具のおしまずきって、近う……などと、若い人たちをあごさしまね剽軽者ひょうきんものさえあると聞く。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)