内侍ないじ)” の例文
雲の内侍ないじと呼ぶ、雨しょぼを踊れ、と怒鳴る。水の輪の拡がり、嵐の狂うごとく、聞くも堪えない讒謗罵詈ざんぼうばりいかずちのごとくどっと沸く。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここに至りて人その言の応を知りぬ。燕王今はていたり、宮人内侍ないじなじりて、建文帝の所在を問いたもうに、皆皇后の死したまえるところを指してこたう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女中は矢張眼を伏せたまゝ、『千本桜』の若葉わかば内侍ないじのやうに上品に口をつぼめて
許褚、身は微賤なりとはいえ、君の内侍ないじを承り、ご身辺の警固を仰せつけられて、ここに在るからには、その職権を以て、固く拒む。……魏公がお目ざめ遊ばしたら、内意を伺って、ご案内する。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一人口火くちびを切つたからたまらない。練馬大根ねりまだいこんと言ふ、おかめとわめく。雲の内侍ないじと呼ぶ、あめしよぼを踊れ、と怒鳴どなる。水の輪の拡がり、嵐の狂ふ如く、聞くも堪へない讒謗ざんぼう罵詈ばりいかずちの如くどっく。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)