六根清浄ろっこんしょうじょう、六根清浄、そうして、人生の嶮路けんろを互に手をとり合ってきた道づれが、途中でこごえてしまったようなさびしさを感じた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その水中にて溺死できしするはめでたいように思い、ひとたびその水にて手足を洗えば六根清浄ろっこんしょうじょうとなり、身心のけがれが一時になくなると信じておる。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「切った割に血の出ぬは、むむ、今日は血を流すと、荒神様がたたる日だ。やれ六根清浄ろっこんしょうじょう、切腹をする日でない。」と御見合おみあわせ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神酒みきをあげ、「六根清浄ろっこんしょうじょう………………懺悔〻〻さんげさんげ」と叫んだあとで若い者がふんどし一つになって此二間はばの大川に飛び込み
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「大山大聖不動明王、さんげさんげ六根清浄ろっこんしょうじょう、さんげさんげ六根清浄」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
六根清浄ろっこんしょうじょう々々」といった。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
(この時人々の立かかるを掻払かいはらう)六根清浄ろっこんしょうじょう、澄むらく、きよむらく、清らかに、神に仕うる身なればこそ、このよこしまを手にも取るわ。御身おみたちが悪く近づくと、見たばかりでも筋骨すじぼねを悩みわずらうぞよ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)