入費にゅうひ)” の例文
その金の始末と云うのは、兄の病気や勤番中のれの入費にゅうひおよそ四十両借金がある。この四十両とうものは、その時代に私などの家にとっては途方心ない大借だいしゃく
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
呉れろなら上げまいものでもないから、それだけの入費にゅうひをお出しなさいな、私も十九まで育てた埋草うめくさをしなけりゃなりませんよ、金が出来ねえなら直ぐお返しなすって下さい
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その返事は二、三日して着いたが、バルブレンのおっかあは来るにはおよばない、だが、ご亭主ていしゅ災難さいなんを受けた相手あいてにかけ合うについて、入費にゅうひのお金を送ってもらいたいというのであった。
中村の脱ぎ捨てた仕事着のポケットの中からは時々、小料理屋の勘定書かんじょうがきや請求書などが出てきた。そのくせ彼は、台所の入費にゅうひを節約しろの、すみの使い方があらいだのと母に小言こごとを言っているのだった。
奥平屋敷の古長屋をもらって来て、およそ百五十坪も普請したが、入費にゅうひわずか四百両ばかりで一切いっさい仕上げました。いよ/\普請の出来たのはその年(明治元年)四月頃と覚ゆ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とい弔いをしなければ成るめえと、さ、おかしく勘繰かんぐるといかねえから、他人に拾われねえ様に持って来たのだから、十日でも二十日でも留められて、引出されゝば入費にゅうひが掛ると思って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一例を申せば白米はくまい一石いっこく三分二朱さんぶにしゅ、酒が一升いっしょう百六十四文から二百文で、書生在塾の入費にゅうひは一箇月一分貳しゅから[#「貳朱から」は底本では「※朱から」]一分三朱あれば足る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)