入揚いれあ)” の例文
もとより長き放埒ほうらつに、貧しく乏しくなりはしても、玉より輝く美容のために身を粉にしても、入揚いれあぐる娼婦しょうふの数もすくなくないのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
その中でも仕繰夫しくり指導係サキヤマをやっているチャンチャンの源次という独身ひとりものの中年男が、仲間から笑われる位打ち込んで、有らん限り入揚いれあげたのを
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人知れず硫酸モルヒネ猫不入ねこいらずなんぞ飲むものなきにしもあらねど、こはただに痴情のなす所のみにあらず、男に入揚いれあみつぎし後ぽんと捨てられなぞしたる揚句あげくの果にして
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
彼女の十五の春を奪ったのは、彼女のためにかなり尽し入揚いれあげた紳士である。
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
彼の父親は賭博とばくや女に身上しんしょう入揚いれあげて、その頃から弟の厄介ものであったが、或時身寄を頼って、上州の方へかせぎに行っていたおりにその女に引かかって、それから乞食のように零落おちぶれて
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)