光背こうはい)” の例文
法隆寺の金堂の本尊はうまでもなく正面に安置せられてある釈迦しゃか像であって、作者が鞍作鳥くらつくりのとり(又は止利とり)なることは光背こうはい銘文によって明らかである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
学校から帰ると、よく夕飯前に、奥の暗い六畳の仏壇ので、老人たちのまいりの座につかせられた。燈明とうみょうの光がゆらぐごとに、仏壇の中の仏様の光背こうはいが鈍く金色にゆれた。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
せまい、ほの暗い、須弥壇しゅみだんの上に、聖観音の光背こうはいまでが金色こんじきの蜘蛛の巣みたいに仰がれる。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊に胴体から胸・顔面にかけて剥脱した白色が、光背こうはい尖端せんたんに残った朱のくすんだ色とけあっている状態は無比であった。全体としてやはり焔とよぶのが一番ふさわしいようだ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
光背こうはいに千体の小仏をもつ廬舎那仏るしゃなぶつと千手観音がまず眼をひく。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)