偽善ぎぜん)” の例文
旧字:僞善
圧制あっせい偽善ぎぜん醜行しゅうこうたくましゅうして、ってこれをまぎらしている。ここにおいてか奸物共かんぶつども衣食いしょくき、正義せいぎひと衣食いしょくきゅうする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なるほど、自分はあのころ、虚言きょげん策略さくりゃく、暴力、偽善ぎぜん、そのほかありとあらゆる卑劣ひれつな手段を毎日もてあそんでいた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
けれども彼には近藤の美的偽善ぎぜんとも称すべきものが——自家の卑猥ひわいな興味の上へ芸術的と云う金箔きんぱくを塗りつけるのが、不愉快だったのもまた事実だった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
自分は何の求むるところもなく、一片義侠ぎきょうの心をもってしたとするも、一方にはそのことたるや偽善ぎぜんからやったとかあるいは慈善ぶっていると非難された経験もあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
偽善ぎぜんと云おうか無智と云おうかとても話にならない。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あたらしい偽善ぎぜんに耽る人である。
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
彼がその日まで口に唱えた教訓はまったく偽善ぎぜんであったとか、彼の純潔なる素行はたくみに人をあざむくの方法であって、その実、彼がかくのごとき事もしたであろう、ああいう事もしたと
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)