きょう)” の例文
父祖このかた、美濃の斎藤家とは、たすけ合ってきた仲だ。野武士とて義はかたい。いやむしろ義ときょう然諾ぜんだくの風を重んじることは、乱世の武門よりまさっている。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旗本奴はたもとやっこではない。といって、町奴まちやっこでは勿論ない。が、いわばちまたきょうである。町の男伊達おとこだてである。喧嘩渡世という看板をあげているとおり、喧嘩なら、何でも買うのだ。何でも買う。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
後年、六波羅の平家一門中、権謀むしろ入道清盛をもこえて、世に“縉紳しんしんきょう”とおそれられたへい大納言時忠こそ、実に、良家の一不良——この日のお玉杓子であろうとは。
こわらしき者、理不じんな者、命しらずのきょうなる者への愛称にすらつかわれる。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きょう、二りゅう山下さんかに出会い、その後の花和尚かおしょう魯智深ろちしんがこと
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)