余沫よまつ)” の例文
そのためには、余沫よまつをうけて書かでもがなの人のことや秘事までが出されたりして、余計にその事件に関係をもった当事者たちを苛立いらだたせ迷惑をかけもした。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この時ぞく周章しゅうしょうの余り、有り合わせたる鉄瓶てつびんを春琴の頭上に投げ付けて去りしかば、雪をあざむ豊頬ほうきょうに熱湯の余沫よまつ飛び散りて口惜くちおしくも一点火傷やけどあととどめぬ。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
哲学者が称号の余沫よまつとでも呼びそうなものを、彼らは自分の身にまとって喜ぶ。ついでに言うが、マリユスは共和の戦士であり、実際それを行為に示してきたが、今は心ならずも男爵となっていた。
灌奠ラバシヨン余沫よまつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)