日本にも以前はそういう無茶苦茶な事が随分さかんに行われていて、それがために天子様も久しく王政を復古遊ばす事が出来ず、佐久間象山さくましょうざん
女子の独立自営 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
そのおりの名声はすさまじいもので、県の選出代議士某氏は、信州から出た傑物は佐久間象山さくましょうざんに松井須磨子だとまで脱線した。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
長州ちょうしゅうはぎの人、吉田松陰よしだしょういんは当時の厳禁たる異国への密航を企てて失敗し、信州松代まつしろの人、佐久間象山さくましょうざんはその件に連座して獄に下ったとのうわさすらある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
三月九日、枕山は星巌夫妻の潮来いたこに遊ばんとするのを行徳ぎょうとくまで送って行った。佐久間象山さくましょうざんもこの日行を送る人の中に交っていた。象山は時に年三十一である。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もし日本の者ならば、長崎の高島秋帆たかしましゅうはん先生か、信州の佐久間象山さくましょうざん先生あたりの部屋を見るようだわい
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「安斉先生は昔なら佐久間象山さくましょうざんぐらいの大人物さ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その暮れになって見ると、天王山てんのうざんにおける真木和泉まきいずみの自刃も、京都における佐久間象山さくましょうざんの横死も、皆その年の出来事だ。名高い攘夷じょうい論者も、開港論者も、同じように故人になってしまった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今さら、「東洋は道徳、西洋は芸術(技術の意)」と言ったあの佐久間象山さくましょうざんを引き合いに出すまでもなく、開港以前の洋学者はいずれもこの国に高い運命の潜むことを信じて行ったようである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)