仮名かめい)” の例文
旧字:假名
云うまでもなく、政岡というのは芝居の仮名かめいで、本名は三沢初子である。初子の墓は仙台にもあるが、ここが本当の墳墓であるという。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それも一個の立場に過ぎぬと云ってしまえばそれまでであるが、しかし「無名」は名ではなく、強いて名づけた仮名かめいであると経にも説いてある。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
おまけに巻末の一覧表には主人公たる僕は勿論、作中の人物の本名ほんめい仮名かめいをずらりと並べろと云ふのである。それだけは御免ごめんかうむらざるを得ない。——
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今、あなた様の身に、短刀を持って突いてかかった町人ていの男は、あれや、千坂兵部のまわし者、十八尺と仮名かめいしておる屈強な隠密の一名でござりまするぞ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下手に仮名かめいを用いて、うっかり偶然、実在の人の名に似ていたりして、そのひとに迷惑をかけるのも心苦しいから、そのような誤解の起らぬよう、私の戸籍名を提供するのである。
家庭の幸福 (新字新仮名) / 太宰治(著)
黒塀くろべいの、けやきの植込みのある、小道を入って、玄関に立った彼女は、その家の主、久佐賀くさか先生というのは、何々道人とでもいうような人物と想像していたのであろう。秋月と仮名かめいして取次ぎをたのんだ。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それは仮名かめいで、本名は別にあるんだけれど、教えてやらないよ。
渡り鳥 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「あ……これですか……これは仮名かめいです」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)