什具じゅうぐ)” の例文
我邦わがくにの農家の主要なる什具じゅうぐは、いずれも近世に入って色々の改良を受けたが、その中でも臼の系統にはほとんと革命とも名づくべき大変化があった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
数寄の者の建てたエキゾチックな別荘ヴィラ——一口にう言ってしまった方が早いようである。従って中にある什具じゅうぐも国籍不明のちぐはぐなもので、数も少ない。
褐色の求道 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
で、そのいえすべて什具じゅうぐとは、棄売すてうりはらわれて、イワン、デミトリチとその母親ははおやとはついぶつとなった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで阿宝の室の鏡台はじめ什具じゅうぐの色合や名前を訊いてみると、すこしも違わなかった。阿宝はそのことを伝え聞いてますます駭くと共に、ひそかにその情の深いのに感じた。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)