人選にんせん)” の例文
「彼是人選にんせんの結果が、とうと御老人が指名せられる事になりました。何しろ一代のほまれといふものです。一つ奮つて御揮毫が願ひたい。」
現に一度はある方面から人選にんせん依託いたくを受けた某教授に呼ばれて意向を聞かれた記憶さえっている。それだのに僕は動かなかった。もとより自慢でこう云う話をするのではない。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勿論もちろんさうひとだから、かりつけ醫者いしやふのも人選にんせんをしたわけではなかつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして慾でするなら、書生風の自分を相手にせずとも、もっと人選にんせん為様しようがありそうなものだと、謙譲らしい反省をする、その裏面には vanitéヴァニテエ が動き出して来るのである。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)