京童きょうわらんべ)” の例文
やよ清盛、そもそも、ごへんは、刑部忠盛ぎょうぶただもり嫡子ちゃくしであったが、十四、五の頃まで出仕にもならず、京童きょうわらんべは、高平太たかへいたの、すがめのといっておった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このかた京童きょうわらんべからすの左大弁などと申し上げたほど、顔色が黒うございましたが、それでもやはり人情には変りもなく、中御門なかみかどの御姫様を恋い慕っていらっしゃいました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
各地を遊歴なさいましたその折にも、例の京童きょうわらんべは、あなたのあれが商売だともうしました。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
一、二カ月もせぬうちに、はやくも京童きょうわらんべは伯爵とある貴夫人との仲を、とやかくと伝えるような有様だった。ベエコン老夫人は胸を打たれた。が、深く驚いたわけではなかった。
都では、京童きょうわらんべのこんな落首らくしゅが六条河原に立てられ、六波羅の敗北を、小気味よがる風潮もあったというが、それよりは
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)