乙未きのとひつじ)” の例文
宇平、文吉が姫路の稲田屋で九郎右衛門と再会したのは、天保六年乙未きのとひつじの歳正月二十日であった。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ここに書くこれらの物語は、古い帳面と記憶を頼りに老人が思い出しながら話してくれたところを私がそのままに聞書したものである。乙未きのとひつじだというから天保てんぽう六年の生れだろうと思う。
建久四癸丑みずのとうし年に十九なら安元元乙未きのとひつじ年すなわち未歳生まれで寅歳でない、『東鑑』は偽りなしだから『異本曾我物語』はうそで寅歳生まれで虎と名づけたでなく寅時にでも生まれたのだろ。
愚僧がこの歌を詠みましたのは、昨日や今日のことではござりませぬ、思えばもう六年の昔、忘れもせぬ文禄乙未きのとひつじのとしの秋、関白殿の御一族がお果てなされた時のことでござりましたが、———
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ぎに推古天皇すゐこてんのうの七ねん乙未きのとひつじぐわつ廿七にち大地震おほぢしんがあつた。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)