丸出まるだ)” の例文
ところが妹はせっかちで仕事があらいので、苧糸が太過ふとすぎて一反の布になるだけは取れず、それで衣装をしたてたら腰までしかなくて、丸いおしりが丸出まるだしになってしまった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かれ何處どこへでもべたりとすわるのでしり丸出まるだしにかかげてやつても衣物きものどろだらけにした。それでしかられてもどろかわいたそのしりたゝかれても、おつぎにされるのはかれにはちつともおそろしくなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
笠原の顔は人のいい男につきものの感情が丸出まるだしになる正直な顔なので、胡魔化そうにも胡魔化せない。壁付灯のあかりで笠原の眼頭にキラリと光るものを見つけると、伊沢は思わず眼を逸らした。
雪間 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)