下袴したばかま)” の例文
下袴したばかまの糸をぬいて釣糸つりいとになされ、お食事のおあとのごはんつぶえさにして、ただでも決してることができないあゆをちゃんとおつり上げになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
宋江は耳朶じだの辺に、じんとつちがねを打たれたような鈍痛を感じた。ぐらとしてくる。下袴したばかまをはくのも帯を締めたのも夢中だった。両手で扉を突くやいな、どどどと階段を降りて行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
園部が星尾に対して殺意をしょうじたわけが、始めてうまく説明がつくようになった。その綿は無論、園部が犯行に使ったもので、つい誤って下袴したばかまの間から落して、川丘みどりに拾われたものであろう。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
中肉中脊、色白くひげ無し、すっぱだかで上衣も下袴したばかまも無い。
白光 (新字新仮名) / 魯迅(著)
ですからこの地方では、その後いつも四月のはじめになりますと、女たちがみんな下袴したばかまの糸をぬいて、飯粒めしつぶを餌にしてあゆを釣り、ながく皇后のお徳をかたりつたえるしるしにしておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)