下策げさく)” の例文
「いやいや、策士に策をもって当るなど、下策げさく。白紙になって会うにかぎる。虚心坦懐きょしんたんかい、ただ自分のこの一生懸命だけを云ってみよう」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一人の劉備を怖れて、将来のわずらいを除くために、四海の信望を失うなどは、下策げさくというもので、私は絶対に賛成できません
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それと、世上の反信長党に、将軍弑逆しぎゃくという絶好な旗じるしを与え、正義を唱えさすなども、下策げさくでないかと考えられますが
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、彼は、このたびの出軍に際して、そのいずれに加担かたんするも、下策げさくとなしていた。兵を具し、陣は張ったものの、これは一時の擬態ぎたいだった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうしようといっても急には城もちまい。甘寧をわざと城へ誘いこんで袋叩きにするという策は、名案に似て、実は下策げさくだったな、こうなってみると」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこにおる針売りから委細承って、驚きのあまり、馳せつけて来たのです。こよいの暴挙は——暴挙といっては失礼だが、兵法からあんずるも、道三様のおくわだてとも思えぬ下策げさく。思い止まっていただきたいが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたたび海部路かいふじへ戻るは下策げさくである。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)