一偈いちげ)” の例文
みな、一偈いちげを唱えた。もう焔はらんをこえて、快川のすそを焦がしていた。稚子ちご老幼の阿鼻叫喚あびきょうかんはいうまでもない。いまを叫んだ僧もうめいてのたうちまわっていた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和尚後年、生死しょうじ代謝たいしゃの際に臨みて一偈いちげを賦するに当たり、偈中に「曹源そうげんの滴水てきすい一生用不尽いっしょうもちうれどもつきず
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
しかして國沴こくてん一偈いちげつくなんぢ流水りうすゐかへるをおくるべしとて、よつぎんじてふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
順逆無二門じゅんぎゃくにもんなし——の一偈いちげであった」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)