“ボールト”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
栓釘25.0%
釘舌25.0%
螺釘25.0%
鉄棒25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「こりゃ空気が悪い。毒だ。少しけよう」と上下うえした栓釘ボールトを抜き放って、真中の円鈕ノッブを握るや否や、正面の仏蘭西窓フランスまどを、ゆかを掃うごとく、一文字に開いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
肩に手を掛けて押すように石段をあがって、書斎に引き返した甲野さんは、無言のまま、扉に似たる仏蘭西窓フランスまどを左右からどたりと立て切った。上下うえした栓釘ボールトかたのごとくす。次に入口の戸に向う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
円鈕ノッブを前に押しながら、開く戸に身を任せて、音なき両足を寄木よせきゆかに落した時、釘舌ボールトのかちゃりとね返る音がする。窓掛に春をさえぎる書斎は、薄暗く二人を、人の世から仕切った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丹念に引く線はようやくしげくなる。黒い部分はしだいに増す。残るはただ右手に当る弓形ゆみなりの一ヵ所となった時、がちゃりと釘舌ボールトねじる音がして、待ち設けた藤尾の姿が入口に現われた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しばらくのあいだはいま申しましたとおり、船はまったく水につかっていましたが、そのあいだ私はずっと息をこらえて螺釘ボールトにしがみついていました。
四角に口が開いて、そこに五本ばかり鉄棒ボールトが植え込まれただけのもの。ご存知の方もありましょう、冬は木枯が、夏は西陽と蚊軍が自由自在に疎通するあの悩ましいフキヌケの窓。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)