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もめんじまむら
經て駿州
木綿島村へ十月十五日に着たりける然るに
甚太夫は
平常痰持にて急にせり
迫けるが三四日の内に思ひの外
全快し先
常體なれば夫婦は
早速對面なせしに甚太夫は兩人が
遠方の所を
むら百姓文藏と申者に候が是なる妻の里
木綿島村の父が急病ゆゑ
見舞に
罷り
越候間何卒御慈悲にて御通し下され候樣願ひ奉つると
言ければ彼の侍士は點頭其は
不便の事なり此
儘引立行時は御法通り
磔けなれば何卒助けて
遣し
度と
暫し工風の
體に見えしが汝等
親孝行の
志ざしにめで我一
了簡を