“ひだる”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
空腹62.5%
肚饑12.5%
脾弛12.5%
12.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寺の門を出たのはひる大分だいぶん過ぎてゐて、ぺこぺこになつた胃の腑のなかでは、先刻さつき虫干で見た呉道子ごどうしの観音さまや、一休和尚の木像やが空腹ひだるさうに欠伸あくびをしてゐた。
日さへはや暮れなんとするに、宿るべき木陰だになければ、有繋さすがに心細きままに、ひたすら路を急げども。今日は朝より、一滴の水も飲まず、一塊の食もくらはねば、肚饑ひだるきこといはんかたなく。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
裏手の貧乏長屋で、力のない赤子のき声が聞えて、乳が乏しくて、脾弛ひだるいようなれた声である。四下あたりはひっそとして、他に何の音も響きも聞えない。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「あまりのひだるさに、塗篭へ入って寝てみたが、夢ばかり見て眠りにならぬよ」
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)