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ひきやくや
平次はガラツ八を
促し立てゝ、其處から一丁とも離れない、仲通りの
飛脚屋に立寄りました。
種々整へ江戸錦繪淺草海苔
館林團扇其外
田舍相應の品々を
買求め
荷造りをして町内の
飛脚屋十七屋より先へ
廻し夫より
名主家主
町代は申に及ばず
懇意の先々へ
暇乞に參りしに何れも
餞別を
提げたるは如何にも金飛脚と見えけるゆゑ
後より見え
隱れに附け行て
見屆たるに瀬戸物町十七屋孫兵衞と云ふ
飛脚屋へ
這入けるが今日が
立日にて
店先に手代共
居双び帳面など認めし
此方には大勢の若い者
荷拵へを
三人は
飛脚屋の十一屋へ取つて返しました。