“ぬれいろ”の漢字の書き方と例文
語句割合
濡色100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
庭は一隅ひとすみ梧桐あおぎりの繁みから次第に暮れて来て、ひょろまつ檜葉ひばなどにしたた水珠みずたまは夕立の後かと見紛みまごうばかりで、その濡色ぬれいろに夕月の光の薄く映ずるのは何ともえぬすがすがしさをえている。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
華奢きやしや男女だんぢよせはしない車馬も一切が潮染うしほぞめの様な濡色ぬれいろをしてその中に動く。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
菱餅ひしもちの底を渡る気で真直まっすぐな向う角を見ると藤尾が立っている。濡色ぬれいろさばいた濃きびんのあたりを、つがの柱にしつけて、斜めに持たしたえんな姿の中ほどに、帯深く差し込んだ手頸てくびだけが白く見える。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)