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じおんじむら
取片付させ自分は
急ぎのこと
故一足先へ出立して
後より
追つくべしと申聞け日の暮頃
慈恩寺村を立出けるが時しも
享保八年七月十六日にて
盂蘭盆のことなれば村々にては
酒宴を
知たる我なれば
欺して殺さんとは
卑怯未練の仕方なり其儀ならば是より直に
公儀に訴へ穀屋平兵衞を殺して金子百兩を
奪取り
夫而已ならず
慈恩寺村にて鎌倉屋金兵衞をも
殺害して金を
幸ひ
奴を殺し
彼者が勝し五百兩の金を奪ひ取んと心
懸先へ廻つて
鷲の宮の
杉林に身を
隱し金兵衞の來るを今や
遲しと待懸たり金兵衞は
斯るべしとは
夢にも知ず
慈恩寺村にて打勝し五百兩を
懷中し
小歌を