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しらかべもん
熊蔵としては、
庭手白壁門のほうの
状況を
主人に
告げるつもりで、ここへきたのであったが、
出合いがしらに
老臣からそう
急かれて見ると、なにを話している
間もなく
なかにも伊部熊蔵は、
腕のすぐれた
若侍を
選り、いちはやく
白壁門へまいって
斬りふせいでおりますから、
追ッつけ四十や五十人の
浮浪人ども、みなごろしにしてもどるでございましょう
奥庭までは
白壁門、
多門、二ヵ
所の
難関がまだあって、そこへかかった時分には、いかに
熟睡していた
侍や
小者たちも眼をさまし、
警鼓警板をたたき立て、
十手、
刺股、
槍、
陣太刀、
半弓、
袖搦み