“くわうじん”の漢字の書き方と例文
語句割合
荒神100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
荒神くわうじん樣が惜しんでこれを隱される、諦らめなさいと、はつきり斷るさうで、それでも掘つたところで、何んにも出て來るわけはありません
新公は咄嗟とつさに身をかはさうとした。が、傘はその途端に、古湯帷子ゆかたの肩を打ち据ゑてゐた。この騒ぎに驚いた猫は、鉄鍋を一つ蹴落しながら、荒神くわうじんの棚へ飛び移つた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
前達まへたち荒神くわうじんさまをつてませう。ほら、臺所だいどころかまどうへまつかみさまのことを荒神くわうじんさまとひませう。あゝしてしづめるかみさまばかりでなく、とうさんの田舍ゐなかでは種々いろ/\なものをまつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
狭い板の間をふさいだ竈、ふたのない水瓶みづがめの水光り、荒神くわうじんの松、引き窓の綱、——そんな物も順々に見えるやうになつた。猫はいよいよ不安さうに、戸の明いた水口みづぐちにらみながら、のそりと大きい体を起した。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)