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おこま
さきにわがため命を
棄し、
阿駒が
赤心通じけん、
鈍くも爾釣り寄せられて、罠に落ちしも
免がれぬ天命。
さればよ
殿聞き給へ。
妾が名は
阿駒と呼びて、この天井に棲む鼠にて
侍り。またこの猫は
烏円とて、この
辺に棲む
無頼猫なるが。
兼てより妾に
懸想し、道ならぬ
戯れなせど。
二匹の犬は
初より耳
側てて、
阿駒が語る由を聞きしが。黄金丸はまづ
嗟嘆して
『
私を
小間使だと
思つてるのよ』と
愛ちやんは
駈けながら
獨語を
云ひました。