間柄あひだがら)” の例文
平次の戀女房のお靜とは、親身の姉妹よりも親しい仲で、お品はもう、性別を飛躍して、兄さんと呼べる間柄あひだがらだつたのです。
勘次かんじとおしな相思さうし間柄あひだがらであつた。勘次かんじ東隣ひがしどなり主人しゆじんやとはれたのは十七のふゆで十九のくれにおしな婿むこつてからも依然いぜんとして主人しゆじんもとつとめてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
三千代が平岡にとつまへ、代助と三千代の間柄あひだがらは、どの位の程度迄進んでゐたかは、しばらくくとしても、かれは現在の三千代には決して無頓着でゐる訳には行かなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もたせ今では親分子分の間柄あひだがら今度たのんで供につれて來りしも此譯也わけなり又其節先生が廿兩と云う金を出して此衆夫婦を世話をしてくれよと御たのみゆゑ私もかく相談さうだんの上紙屑商賣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それで對等の間柄あひだがらで話をするといふわけにも參りませんしねえ。權威けんゐくしません爲めには、當然へだてをつけて置かなくてはなりません。確か昨年の冬でございましたよ。
ことわたくし櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさとは面識めんしき間柄あひだがらで、數年すねんぜんことわたくしがまだ今回こんくわい漫遊まんゆうのぼらぬ以前いぜん、あるなつ北海道旅行ほくかいだうりよかうくわだてたとき横濱よこはまから凾館はこだておもむ滊船きせんなかで、はからずも大佐たいさ對面たいめんしたことがある。
つたり、もつとしたしい間柄あひだがらときには
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何人なんびと何用なにようありてひたしといふにや親戚しんせき朋友ほういう間柄あひだがらにてさへおもてそむけるわれたいして一面いちめんしきなく一語いちごまじはりなきかも婦人ふじん所用しよようとは何事なにごとあひたしとは何故なにゆゑ人違ひとちがひとおもへばわけもなければ彼處かしこといひ此處こゝといひまはりし方角はうがく不審いぶかしさそれすらこと不思議ふしぎなるにたのみたきことありあし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
卯平うへい當座たうざうち其處そこ此處ここらへつては自分じぶんからはもとめないでも、しばらはなかつた間柄あひだがらで、みじかちるのもらずにはなしをしては百姓ひやくしやう相當さうたう不味まづ馳走ちそうるのであつたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いつもなら調戯からかひ半分に、あなたは何かしかられて、かほを赤くしてゐましたね、どんなわるい事をしたんですか位言ひかねない間柄あひだがらなのであるが、代助には三千代の愛嬌が、あとから其場そのばを取り繕ふ様に
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こと櫻木大佐さくらぎたいさは、春枝夫人はるえふじん令兄れいけいなる松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさとは、兄弟きやうだいおよばぬ親密しんみつなる間柄あひだがらで、大佐たいさがまだ日本につぽんつたころ始終しじう徃來わうらいして、其頃そのころ乙女おとめであつた春枝孃はるえじやうとは、幾度いくたびかほあはしたこともあるさう
きこめされ限りなき御祝着ごしうちやくにて片時へんじも早く逢度あひたくとの上意なりし御親子の御間柄あひだがらまた別段べつだんの御事なり扨も大岡越前守殿には數寄屋橋の御役宅へ歸りひとり熟々つら/\勘考かんかうあるに天一坊の相貌さうばう不審ふしん千萬なりと思はるれば翌朝よくてう未明みめい伊豆殿御役宅へ參られ御あひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ときなるかな松澤まつざははさるとし商法上しやうはふじやう都合つがふ新田につたより一時いちじれし二千許にせんばかりかねことしはすで期限きげんながら一兩年いちりやうねんひきつゞきての不景氣ふけいき流石さすが老舖しにせ手元てもとゆたかならずこと織元おりもとそのほかにも仕拂しはらふべきかねいとおほければ新田につた親族しんぞく間柄あひだがらなりかつ是迄これまでかたよりたてかへしぶんすくなからねばよもや事情じじやううちあけて延期えんき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)