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空
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うつ
ふりがな文庫
“
空
(
うつ
)” の例文
無理
(
むり
)
に申させても取上には
相成
(
あひなら
)
ぬぞ其源次郎と申はナ細川の
家來
(
けらい
)
にて井戸源次郎と云者新吉原の三浦屋四郎左衞門
抱
(
かゝ
)
への
遊女
(
いうぢよ
)
空
(
うつ
)
せみを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「なーんだ」わたしは出し抜かれたやうな
空
(
うつ
)
ろな気になつた。わたしは腕組をして、四畳半をたゞうろついた。帽子をかぶつて外に出た。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
だから貴方のやさしい燃えるやうな言葉には
空
(
うつ
)
ろな響があるのは当り前すぎるわ。いくら貴方がそれを御自分では不満足でもね。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
夢とも
現
(
うつつ
)
ともつかないような
空
(
うつ
)
ろな目ざしでお前をじっと見つめている私の目を、お前は何か切なげな目つきで受けとめていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
飴色
(
あめいろ
)
や
暗紫色
(
あんししよく
)
をした
肋骨
(
ろくこつ
)
と手足の骨とが左右に一
間
(
けん
)
程の高さでぎつしりと積まれ、
其
(
その
)
横へ幾列にか目鼻の
空
(
うつ
)
ろに成つた
髑髏
(
どくろ
)
が掛けられて
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
今でも好きな人がいゝ曲を演ると時々見に行くが、藝の熟さない人のをみると同じ曲でも全然
空
(
うつ
)
ろな感じで、退屈してしまふ。
目に見えない怪物:―能の現代化
(旧字旧仮名)
/
加藤道夫
(著)
霞町
(
かすみちょう
)
のほうからゴトゴトと走ってくる小型の都電の
軋
(
きし
)
むような車輪の響きまでが、アブクのように
空
(
うつ
)
ろに浮かびあがってくる。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
彼は
空
(
うつ
)
ろな目を一杯に見開いて、口からは
滝津瀬
(
たきつせ
)
と真赤な絵の具を吹き出しながら、水の中で何かわめいていた。声のない叫びを叫んでいた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いや
止
(
や
)
めてくれ、………で、外の廊下で
揉
(
も
)
み合っている間じゅう、当人は何も
関
(
かか
)
わりがないかのように
空
(
うつ
)
ろな眼を据えているばかりであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
中は
空
(
うつ
)
ろで、きれ仕立ですから、瓜の合せ目は直ぐ分りました。が、これは封のあるも同然。神の料のものなんです。参詣人が勝手には
窺
(
のぞ
)
けません。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
空
(
うつ
)
ける氣の習であるとか、亢ぶる氣の習であるとか、種々の惡い氣の習が有るものであるから、中々以て張る氣をのみ保つて居ることは難いのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その私の肉体は単に
空
(
うつ
)
ろな、たゞ一寸軽い頭の爽々しさだけを自分だけで意識してゐる一個の物体に過ぎません。
砂浜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
名刑事は
空
(
うつ
)
ろな笑い声をあげて、自らを嘲笑した。私は老刑事の心中を思いやって眼頭が熱くなるのを覚えた。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「へとへとにして呉れるぞ。息の根をとめて呉れるぞ!」と彼は、
空
(
うつ
)
ろな声でさも憎さげに言うのだった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
手応
(
てごた
)
えのない相手の無表情な
空
(
うつ
)
ろへ向って、彼女の押詰めて来た切実な気持は不意なよろめきを感じた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血色は優れず、両の眼玉は、あり得べからざるものの姿でも見た人のように、
空
(
うつ
)
ろに見開かれて、食器をとる手は、内心の亢奮を包み切れずか絶えず
小刻
(
こきざみ
)
に顫えていた。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
それを指して、留めどもなく笑っているのは、伯爵海蔵寺三郎の全く本心を
喪
(
うしな
)
った
空
(
うつ
)
ろな顔です。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だれが残存し得るか? 世界の美も苦悩の指でたたかれると、いかに
空
(
うつ
)
ろな音をたてることぞ!
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と、同時に、全身に急に
空
(
うつ
)
ろなものを感じて、胸を引き裂きたいやうな衝動にかられた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
だれ一人話相手もなく、たった一人寒いホームに立って汽車を待っている女、その
空
(
うつ
)
ろな心にどんな誘惑がしのびこまぬとも限らぬと思うと、肌が
粟
(
あわ
)
だってきて、ミネは慌て出した。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ヒース・ロウの新飛行場にある「世界最大最新の」FIDOは「一言に言えばそれは着陸場に置かれた中が
空
(
うつ
)
ろな火焔の巨大な箱」で「石油を入れた管が滑走路周辺に長方形に置かれ」
霧を消す話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
彼は
四脚
(
しきゃく
)
の
短長格
(
ヤンブ
)
を思いっきり声を引き引きがなり立てて、
韻
(
いん
)
が入れかわり立ちかわり、まるで
小鈴
(
こすず
)
のような
空
(
うつ
)
ろで
騒々
(
そうぞう
)
しい音を立てたけれど、わたしはじっとジナイーダの顔を見たまま
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
入相
(
いりあひ
)
の
鐘
(
かね
)
の
聲
(
こゑ
)
陰
(
いん
)
に
響
(
ひゞ
)
きて
塒
(
ねぐら
)
にいそぐ
友烏
(
ともがらす
)
今宵
(
こよひ
)
の
宿
(
やど
)
りの
侘
(
わび
)
しげなるに
誰
(
た
)
が
空
(
うつ
)
せみの
夢
(
ゆめ
)
の
見初
(
みはじ
)
め、
待合
(
まちあひ
)
の
奧二階
(
おくにかい
)
の
爪彈
(
つめび
)
きの
三下
(
さんさが
)
り
簾
(
すだれ
)
を
洩
(
も
)
るゝ
笑
(
わら
)
ひ
聲
(
ごゑ
)
低
(
ひく
)
く
聞
(
きこ
)
えて
思
(
おも
)
はず
停
(
とま
)
る
行人
(
ゆくひと
)
の
足元
(
あしもと
)
、
狂
(
くる
)
ふ
煩惱
(
ぼんなう
)
の
犬
(
いぬ
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は、
空
(
うつ
)
ろな考えを追う。そして、その葉の揺れるのを待つ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
木曾ははじめて、しかし
空
(
うつ
)
ろな声で笑って見せた。
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
うきねの
十日
(
いくよ
)
、燈臺の
空
(
うつ
)
けたる眼は顧みず。
醉ひどれ船
(旧字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
小木曾路
(
おぎそじ
)
を今日もさまよう
空
(
うつ
)
ろ心
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その声は
空
(
うつ
)
ろにひびいた。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
夢とも
現
(
うつつ
)
ともつかないような
空
(
うつ
)
ろな
目
(
まな
)
ざしでお前をじっと見つめている私の目を、お前は何か切なげな目つきで受けとめていた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
と、その
虚
(
きょ
)
に乗じて、
女々
(
めめ
)
しい感情が群がり起る。わしの無表情な
空
(
うつ
)
ろの目から、涙ばかりが、止めどもなく流れ出した。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
殺され
爭
(
いかで
)
か罪に
伏
(
ふく
)
し申さんやと申すに大岡殿其方如何に
爭
(
あらそ
)
ふとも河原の
死骸
(
しがい
)
は馬丁と
空
(
うつ
)
せみの兩人にして昌次郎夫婦は
存命
(
ぞんめい
)
いたし居るぞ然るに傳吉を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そしてあなたもご自分でちゃんとそのことを知ってなさるのだわ。だからあなたのやさしい燃えるような言葉にはどこか
空
(
うつ
)
ろな響きがあるのはあたりまえすぎるわ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
もちろん
燈灯
(
ともしび
)
をともしては館の者に気づかれる
惧
(
おそ
)
れがあるから、明りもない
閨戸
(
ねやど
)
の
帳
(
とばり
)
を
空
(
うつ
)
ろにしては
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なよたけ (
空
(
うつ
)
けて行くように)……文麻呂!……
誰
(
だれ
)
かがあたしを呼んでいるの。声のない言葉で、……何かほの白い寒気のするようなものがあたしを呼んでいるの。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
だけど……真黒な穴の中にかぎりなく墜落していたみたいな、
空
(
うつ
)
ろさの中での混乱状態だったあのときと違い、いまの私は、自分の底に真黒な穴をあけた状態のまま固定しかけている。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
私が
空
(
うつ
)
けたような顔ばかりして、いつまでも物を言わずにいると、「どうして何も言わないのだ」と、殿は私の機嫌をとるように言い出された。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
殿村は狐につままれた様な、夢でも見ている様な、何とも云えぬ変てこな気持になって、
空
(
うつ
)
ろな目で窓の外を眺めていた。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
其方儀松五郎
尋
(
たづ
)
ねの所未だ
行衞
(
ゆくゑ
)
相知れざる趣き
空
(
うつ
)
せみ事千代
存命
(
ぞんめい
)
も是れ有らば入牢の上
屹度
(
きつと
)
被仰付之處
當人
(
たうにん
)
空
(
うつ
)
せみ相果候上は一等を
減
(
げん
)
じられ
江戸構
(
えどかま
)
へ申付る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
(彼女の手をとって、車から下ろそうとする。なよたけは
空
(
うつ
)
けたように云うがままになる。彼女の手にした竹の枝をみて)おや、おや、大変なものをお
家
(
うち
)
から持って来たんですね。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
平四郎は、何か、悪夢から醒めたように、
凝
(
じっ
)
と、
空
(
うつ
)
し身になって星を仰いでいたが
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
空
(
うつ
)
ろで架空なただの不機嫌やおびえの
排泄
(
はいせつ
)
にすぎない。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
そんな時など、それほど
空
(
うつ
)
けたようになっているおりおりの自分の姿が、私にも何かしら異様に思われたりするのだった。
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
異様に
空
(
うつ
)
ろな眼、そして口をだらしなくひらいて、ゲラゲラと笑っている姿は、二た目と見られたものではないのです。
鏡地獄
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
敵ながらその人
亡
(
な
)
しと聞くと何か大きな
空
(
うつ
)
ろを抱かせられたのである。仲達もまさにその一人だったが、老来いよいよ
健
(
けん
)
なるその五体に多年の目的を思い起すや、
勃然
(
ぼつぜん
)
と剣を叩いて
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文麻呂も清原も、まるで
空
(
うつ
)
けたように、呆然として、立ちつくしている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
奇妙に
空
(
うつ
)
ろなそのひろがりでしかなかった。
菊
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
空
(
うつ
)
けたやうに、心もち大きく見ひらいた、そのくせ自分自身のことは何もかも呑み込んでゐるやうな聰明さから來るらしい、透明なふかい目ざしが
おもかげ
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
瑠璃子は
空
(
うつ
)
ろな目でわしの顔を見つめたまま立ちすくんでしまった。彼女にもやっと事の仔細が分り始めたのだ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
天井へ向けて
空
(
うつ
)
ろにしているのだった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
早苗は、彼女の傍で明が
空
(
うつ
)
けたような眼つきをしてそんな事なんぞを考え出している間、手近い草を手ぐりよせては、自分の足首を撫でたりしていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
“空”の解説
空(そら、霄、en: sky)とは、地上から見上げたときに頭上にひろがる空間のこと。天。
(出典:Wikipedia)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
“空”を含む語句
空腹
空洞
空虚
空想
空手
虚空
空間
蒼空
空嘯
空々
青空
空中
碧空
大空
空地
中空
空気
空車
空隙
空室
...