新築しんちく)” の例文
みゝづくでしよくろんずるあんまは、容體ようだい倨然きよぜんとして、金貸かねかしるゐして、借家しやくや周旋しうせん強要きやうえうする……どうやら小金こがねでその新築しんちくをしたらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まゐりましたところ堺町さかひちやうでうきたまちといふ、大層たいそうづかしい町名ちやうめいでございまして、里見さとみちうらうといふ此頃このごろ新築しんちくをした立派りつぱうち
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは結婚けつこん先立さきだつて、あたらしいいへてる、その新築しんちくむろ言葉ことばで、同時どうじに、新婚者しんこんしや幸福こうふくいの意味いみ言葉ことばなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
わたしは一新築しんちくのS、Hうちたいかた/″\、いつかはつてもいゝとおもつたが、せわしいときだしすここゝろ準備じゆんびをとゝのへたをりのことにしようとおもつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その後まもなく、その播磨はりまの国へ、山部連小楯やまべのむらじおだてという人が国造くにのみやつこになって行きました。するとその地方の志自牟しじむという者が新築しんちくしたおうちでお酒盛さかもりをしました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
たれしも想像そう/″\られるとほり、校舍こうしや新築しんちくでありながら全部ぜんぶつぶれてしまつた。わづかにもつのがれた校長以下こうちよういか職員しよくいんふようにして中庭なかにはにまでると、目前もくぜん非常ひじよう現象げんしようおこはじめた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ば恐れての事ならんか町人の身として奉行を𫥇人なかうどに立んこと世に勿體もつたいなき譯なればと親類一どう連署れんしよして此くだり辭退じたいし終りぬ兎角とかくするうち新築しんちくまつた出來しゆつたいせしかば親子お金を其所に移し黄道吉日くわうだうきちにち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんにんときとしては何萬人なんまんにんかずへられ、お賽錢さいせんだけでもなんゑんといふあがだかで、それにれていままではさびしかつた田舍道ゐなかみちに、のきならべる茶店ちやみせやら賣店ばいてんやら、これも新築しんちく三百餘軒よけんたつしたとは
はじめにれる工夫くふう算段さんだんはじいてねばれぬものゝりにもはぬしないくらかぶせて上穗うはほ自己おのれ内懷中うちぶところぬく/\とせし絹布けんぷぞろひはゆゑものともおもはずお庇護かげちましたとそらをがみせし新築しんちく二階造にかいづくことば三年先さんねんさき阿房鳥あはうどり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二三ちやうまゐつて総門そうもん這入はいそれから爪先上つまさきあがりにあがつてまゐりますると、少しひろところがございまして、其処そこ新築しんちくになりました、十四五けんもある建家たていへがございました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
新築しんちくいへんで、屋敷やしきのわるいたましひしづをんなが、きつけたたまを、いまらしてゐることよ。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しめきん七十圓なゝじふゑん——もしそれわたしをして幹事かんじたらしめば、たちまちにおぼん軍用ぐんようてようものを、軍規ぐんき些少いさゝかてきにかすめざる瀧君たきくんなれば、こゝろざしはうけた——あるひ新築しんちくいはひあるひをどり一手ひとて祝儀しうぎ
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さいはひ峠上たふげうへ茶屋ちややが、こゝへ新築しんちくをいたすのでございます。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)