かう)” の例文
山田やまだ元来ぐわんらい閉戸主義へいこしゆぎであつたから、からだかう雑務ざつむ鞅掌わうしやうするのをゆるさぬので、おのづからとほざかるやうにつたのであります
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しなかうしてつめたいかばねつてからもあしそこ棺桶くわんをけいたまいへだてただけでさら永久えいきうつちあひせつしてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
爺奴ぢぢいめおどす気になツて、「竿持ツて来て叩き落すぞ。」ツて云ふから、「そんな事するならかうして呉れるぞ。」ツて、僕は手当り次第林檎を採ツて打付ぶつつけた。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かうふのは、わるくすると突然いきなりふんづかまへてへそひねりながら返事へんじのかはりにめやうもれぬ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かうふです。我々われ/\這麼格子こんなかうしうち監禁かんきんしていてくるしめて、さうしてこれ立派りつぱことだ、理窟りくつことだ、奈何いかんとなれば病室びやうしつと、あたゝかなる書齋しよさいとのあひだなん差別さべつもない。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「どうしたもんだかな、おれでもかついてあるつてんべかな、かうしていたんぢややうねえかんな」おしな相談さうだんしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……考へた時は大變面白かつたが、かう書いて見ると、興味索然たりだ。饒舌おしやべりは品格をそこなふ所以である。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
時々見付かつて、本より、私の方が押入へしまはれました。かういふのはいくらもある。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ところ或日あるひ石橋いしばしが来て、たゞかうしてるのもつまらんから、練習のために雑誌をこしらへては奈何どうかとふのです、いづれも下地したぢすきなりで同意どういをした、ついては会員組織くわいゝんそしきにして同志どうしの文章をつのらうと議決ぎけつして
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
金色の葉がしきりなく降つて居る。金色の日光が鮮かに照して居る。其葉其日光のかがやきが二人の顔をかう染めて見せるのか? 否、さうではあるまい。恐らくは然ではあるまい。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
またんでも極樂ごくらくたしかかれるぢやとかたしんじてものは、かうときにはおどろかぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
勘定かんぢやうにやんねえなどうも、近頃ちかごろやうねえよ文久錢ぶんきうせんだの青錢あをせんだのつちうのが薩張さつぱりなくなつちやつてな、それから何處どこつてもかうしてくんだ」商人あきんどがぼてざるから燐寸マツチさうとすると
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自分はかう信じたからこそ、此市こゝの名物の長澤屋の豆銀糖でお茶を飮み乍ら、稚ない時から好きであつた伯母さんと昔談むかしばなしをする樂みをさへ擲ち去つて、あかからぬ五分心の洋燈ランプの前に
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
……たとひ、かうして、貴女あなたひろつてくださるのが、ちやんきまつた運命うんめいで、當人たうにんそれつてて、芝居しばゐをするで、たゞ遺失おとしたとおもふだけのことをしてろ、とはれても、可厭いやです。金輪際こんりんざい出來できません。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分はかう信じたからこそ、此市ここの名物の長沢屋の豆銀糖でお茶を飲み乍ら、稚ない時から好きであつた伯母さんと昔談をする楽みをさへなげうち去つて、明からぬ五分心の洋燈の前に
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
でまあかう體裁ていさいなんですがね。女中ぢよちうにはすべ怒鳴どならせないことにしてあるんださうだが、帳場ちやうばておあつらへをとほすのに、「ほんごぶになまイ」ととほす。とこれもの一人ひとりもなし。で、まことこまつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これは、人の前で、殊に盛岡人の前では、ちと憚つて然るべき筋の考であるのだが、茲は何も本氣で云ふのでなくて、唯ついでに白状するのだから、別段差閊さしつかへもあるまい。考といふとかうだ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かうわし矢張やはりその、おい/\いた連中れんぢうでな、面目めんぼくもないこと。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これは、人の前で、殊に盛岡人の前では、ちと憚つて然るべき筋の考であるのだが、ここは何も本気で云ふのでなくて、唯ついでに白状するのだから、別段差閊さしつかへもあるまい。考といふはかうだ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
尤もかういふ都會では、女なら隨分資格の無い者もつかツてる樣だけれど、男の代用教員なんか可成なるべく採用しない方針らしいですから、果して肇さんが其方へ入るにいゝどうか、そら解りませんがね。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
尤もかういふ都会では、女なら随分資格の無い者もつかツてる様だけれど、男の代用教員なんか可成なるべく採用しない方針らしいですから、果して肇さんが其方へ入るにいいどうか、そら解りませんがね。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
肇さんは、かう云ツて、温和あたゝかい微笑を浮かべ乍ら、楠野君の顏を覗き込んだ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
肇さんはかう云ツて、温和おとなしい微笑を浮かべ乍ら、楠野君の顔を覗き込んだ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『噫、君、僕はどうも樣々思出されるよ。……だが、何だらうね、僕の居たのは田舍だツたから多少我儘も通せたやうなものの、かういふ都會めいた場所ところでは、矢張駄目だらうね。僕の一睨みですくんで了ふやうな校長も居まいからね。』
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)