龍顔りゅうがん)” の例文
新字:竜顔
この日ごろのお悩みは龍顔りゅうがんのうえにもうすぐろいくまとなって、さしもお身の細りすらうかがわれる後醍醐だった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おん目は赤濁あかだみ、蒼白な龍顔りゅうがんにはおぐしがみだれかかり、白絹の小袖袴もあとかたなく、泥のみならず血痕もにじませておられたと、「花園院御記はなぞのいんぎょき」には見える。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋々れんれんたる離別は龍顔りゅうがんをかきくもらせてはいたが、ふと、幾多の唐土とうどと帝王の例などもお胸をかすめたことであろう。国と女——その比重へこたえるような語気であった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勅使は、綸言りんげんを伝えていう。今日の事、叡覧えいらんあって龍顔りゅうがん殊のほか御うるわしく、上古末代の見もの、本朝のみか、異国にもかほどのさまはあるべからずとのたまわせ、斜めならぬ御気色みけしきに仰がれた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
龍顔りゅうがんはくもって、はたと、ご苦悶のいろかのように仰がれた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)