黄瓜きゅうり)” の例文
「いろいろなものに利きますよ。何でもいいてえんだからね。豪気ごうぎだあね」と云ったのはせた黄瓜きゅうりのような色と形とを兼ね得たる顔の所有者である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
崩れのこった二間の廂房の外には、黄瓜きゅうりの棚と小さい玉蜀黍とうもろこし畑とがあり、窓下には香り高い晩香玉ワンシャンユイが咲いている。劉向高リウシャンカオという、同じ年ぐらいの少しは文字のよめる男が、春桃と同棲している。
春桃 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
近寄って見ると大きな覇王樹さぼてんである。高さは七八尺もあろう、糸瓜へちまほどな青い黄瓜きゅうりを、杓子しゃもじのようにしひしゃげて、の方を下に、上へ上へとあわせたように見える。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)