鶏肋けいろく)” の例文
私がもし第一の芸術家にでもなりきりうる時節が来たならば、この縷説るせつ鶏肋けいろくにも値せぬものとして屑籠くずかごにでも投じ終わろう。
広津氏に答う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
劉伶りゅうれいという支那の昔の大酒飲は、鶏肋けいろくという旨い言葉を発明したが、志賀高原は畢竟ひっきょう高原の鶏肋なるものであろうか。
次に鶏肋けいろくとして存じて置きたい一話は、蘭軒が猫を愛したと云ふ事で、そのつた所の桃花猫ときと呼ばれた猫の伝さへ口碑に遺つてゐる。これより伊沢氏桃花猫たうくわべうの伝に入る。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ドイツ・リードのレコードなどいうものがまだ幾枚もなかった時分、私たちの蒐集の中心点になった昔のスレザークのことを語るのは、我々鶏肋けいろく党に取っては、なかなかに興味の深いことである。
「こよいの用心布令は鶏肋けいろくとの仰せ出しなりと伺い、諸人お心の中を測りかねて難儀しておりましたゆえ、それがしがおことばのご意中を解いて、人々に引揚げの用意あってしかるべしと申しました」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんなことを覚えていたところが、それは彼にとっては鶏肋けいろくのようなもので、捨てるにもあたらないけれども、しまいこんでおくにはどこにおくにも始末の悪い代物だった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しばらく其要を摘んで此に附して置く。実は鶏肋けいろくである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
鶏肋けいろく鶏肋」と、つぶやいた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鶏肋けいろく
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)