鳩首きゅうしゅ)” の例文
帆村は、竹田博士の死体をちょっと覗いていただけで、間もなく鳩首きゅうしゅしている係官の傍を離れた。そして彼は、室内を改めてズーッと見廻したのであった。
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところへ、何か道誉の打合せが来て、二将は、彼の待つ神社の横の幄舎あくしゃへかくれた。そして出発を目前にしながら、道誉を中心に、鳩首きゅうしゅ、時を移しているふうだった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お父さんのところだろうと思って、書斎へ志すと、果して鳩首きゅうしゅ談合中だった。
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
鳩首きゅうしゅして眼を光らせてうなずき合い、四方に手廻てまわしして同じ讃岐の国の大地主の長女、ことし十六のお人形のように美しい花嫁をもらってやったが、才兵衛は祝言しゅうげんの日にも角力の乱れ髪のままで
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼らは一時間ほど探してから、三人鳩首きゅうしゅして首をかしげ、晴れない顔付のままで公園から出ていった。
道誉の姿は、そこから百歩も彼方の、山寺の裏口らしい崩れ築土ついじの蔭に、床几しょうぎをすえ、民谷玄蕃、田子六郎左衛門などの、おもなる家臣と、何やら鳩首きゅうしゅしている様子なのである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私たち鬼夫婦は、その夜、鳩首きゅうしゅして小声で相談した。
夜前、勝家は、自身の家臣たちを集めて、宿所で鳩首きゅうしゅ談合して来たものだった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ダムダム珍は、例の巣窟に党員中の智恵者を集めて、鳩首きゅうしゅ協議を重ねていた。
獏鸚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一方、政職まさもとの居室では、いまなお一族と老臣が鳩首きゅうしゅして密談をこらしていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
係官は鳩首きゅうしゅ協議した。
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その夜、またあくる日と、この面々は直義の下御所しもごしょに寄合って、どうしたら朝廷の難題をのがれうるか、また、尊氏を思い止まらすことができるか、直義を中心に、鳩首きゅうしゅ、談合の様子だった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにか、布陣図のようなものを囲んで謀議に鳩首きゅうしゅしているところだった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信玄のいる帷幕には、彼の一族と甲山の星将とが半日も鳩首きゅうしゅして、その人々が入り代り立代り出はいりしていた。陣外の馬匹までが、ここでは実にやかましいほど、悍気かんきを立てていなないている。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、鳩首きゅうしゅ、氏郷の書翰を、廻覧しながら
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三名は鳩首きゅうしゅして、軍議にふけった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳩首きゅうしゅして、やがての後
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)