鳥羽僧正とばそうじょう)” の例文
あるいは日本絵の下絵や鳥羽僧正とばそうじょうの鳥獣戯画やその他雪舟せっしゅう破墨はぼく山水にいたるまでも素描といえばいえるものである。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
こんな空想にふけりながら自分は古来の日本画家の点呼をしているうちに、ひょっくり鳥羽僧正とばそうじょう逢着ほうちゃくした。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それにえた揉烏帽子もみえぼしをかけたのが、この頃評判の高い鳥羽僧正とばそうじょうの絵巻の中の人物を見るようである。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鳥羽僧正とばそうじょう作と伝えられる高山寺本「鳥獣戯画」は愛す可き大芸術だ、日本がっている有数の宝の一だろう。光琳の画は予には向かない。定評ある「太公望ノ図」などは厭だ。
不折ふせつ鳥羽僧正とばそうじょうの画につきて言へりしに対して茅堂ぼうどうは不折の説をばくする一文を投ぜり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
当初おさなくしてまた上品な貞門ていもんの俳諧を突破して、梅翁ばいおう一派の豪胆なる悪謔あくぎゃくが進出した際には、誰しも鳥羽僧正とばそうじょうの画巻をくりひろげるような痛快さをもって、よろこび迎えざる者は無かったのであろうが
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
鳥羽僧正とばそうじょうの鳥獣戯画なども当時のスポーツやいろいろの享楽生活のカリカチュアと思って見ればこの僧正はやはり一種のカメラをさげて歩いた一人であったかもしれない。
カメラをさげて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)