鳥瞰ちょうかん)” の例文
そして、私が今中世の和歌について一つの鳥瞰ちょうかんをしようとする意図もまた、歴史を知ることの欲求にゆすぶられてのことである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
その家の鳥瞰ちょうかん写真が、紙面一パイに掲載されることになったが、その写真をよく見ると、それは明らかに日本人が建てたらしい草葺くさぶき小舎で
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
知らねばこそですが、この甲府にいる人々の動静を皆明らかに聞かされて、甲府盆地を鳥瞰ちょうかんしたように知ってみると、一刻もじっとしていられた体ではありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
職能に関する読書はその部門の全般にわたる鳥瞰ちょうかんが欠くべからざるものであるが、そのあいだにもおのずと自分の特に関心し、選ぶ種目への集注的傾向が必要である。
甚だ残念、とにかくこれから富山に登って、ひとり心ゆくまで松島の全景を鳥瞰ちょうかんし、舟行の失敗を埋合わせようと考え、山に向っていそいだものの、さて、富山というのはどこか
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
なかちかけた額堂の欄間らんまには、琵琶びわを抱いた蝉丸の像や、関寺小町せきでらこまちの彩画や、八けい鳥瞰ちょうかん大額おおがくなどが、胡粉ごふん雨露うろの気をただよわせ、ほこり蜘蛛くもの巣のうちにかけられてあった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十日、倶利伽羅くりからを越え、砥波山となみやまを踏み、八幡峰はちまんみねにのぼって、越中一円を鳥瞰ちょうかん
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここから、彼の管領している武蔵一国を、鳥瞰ちょうかんしてみるならば——。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鳥瞰ちょうかんして、視界のかぎりを、ここから見渡すと。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少なくも彼は全亜細亜アジア鳥瞰ちょうかんしていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)