高飛車たかびしや)” の例文
錢形平次は、いつもに無く高飛車たかびしやでした。繩こそ打ちませんが、やくざ者の猪之松は、番屋の土間に引据ゑられて、すつかり顫へあがつて居ります。
いや、面喰めんくらつたのはやつこである。……れいつて「お手間てまれますツ。」をはないうちに、眞向まつかう高飛車たかびしやあびせられて、「へーい、」ともず、とんびさらはれた顏色がんしよく
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さうだよ。追放の軍人だから面白いンだ。かうした軍人あがりは、気合をかける事は板についてゐるからね。すべて、烏合うがふしゆう相手には、高飛車たかびしやな気合だけなンだ……」
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
何とかして高飛車たかびしやに出てやらうと、幾度いくたび下腹したばらに力を入れてみたが、その都度お爺さんが自慢さうに扱いてゐる銀のやうな長い髯が目につくので、他愛たあいもない詰らぬ事を言つてしまつて
高飛車たかびしやに叱りつけた。