高台こうだい)” の例文
旧字:高臺
試みに一個の焼物を選んで、その裏を見られよ。よく支那や朝鮮のあの高台こうだいの強さに比べ得るものは、かかる雑器においてのみである。この世界に弱さはない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その横の壁にはチベットで最も上手な画師えしが描いた高尚ながあり、その正面にはチベット風の二畳の高台こうだい(法王の御座ぎょざ)があって、その横にまたチベットの厚い敷物がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
高台こうだいあさ樹下じゆかひと
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
辺の裏はややくぼみ支えるに便にしてある。形優れ、高台こうだい強く、素地もよく釉薬うわぐすりもよい。健全であって少しも病弱なところがなく、味わいは極めて柔かくかつ温かい。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
有り難いことには普通なみものを作るので、手荒い仕事で終っているのである。この事情が仕事を救っている秘密である。特に高台こうだいの削りの如き昔風で、他に例を見ない。
陸中雑記 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
一つの茶碗にすら「七つの見処みどころ」を数えた。彼らの眼から高台こうだいの美が見逃されることはなかった。彼らは傷にすら特殊な美を認めた。そうしてゆがみにすら一種の美を認めた。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ひねくれた形、わざとらしき高台こうだい、人はその作為を風雅と誤認しています。そこには病菌の展覧よりほか何ものもありません。初代の茶人達が愛した茶器は実に素直な物のみでした。
民芸とは何か (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
あの光悦こうえつ作と云わるる著名な「鷹ヶ峯たかがみね」と銘する茶碗を見られよ。あの手作りの高台こうだい、あの一条ひとすじ篦目へらめ、何たる技巧の仕業であるか。あの自然な自由な「井戸いど」の茶碗の前に何の面目があろうか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)