駝鳥だてう)” の例文
なほ次手ついで吹聴ふいちやうすれば、先生は時々夢の中にけものなどに追ひかけられても、逃げたことは一度もなきよし。先生のたん、恐らくは駝鳥だてうの卵よりも大ならん
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その當時の流行の駝鳥だてうの羽毛を揷した鼠色の海狸かいりの帽子を冠り、その優雅なかぶりものゝつばの下からは、念入りにカァルしたふさ/\とたつぷりある明色の捲毛がこぼれてゐた。
一等室はかなり込み合つてゐるが、革包をそばに置く丈の余裕はある。隣の席は若い西洋婦人である。鼠霜降ねずみしもふりの散歩服を着て、鼠色の駝鳥だてうの羽で装飾した帽を被つてゐる。遠方へ行くのではないらしい。
魔睡 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
中村氏は駝鳥だてうのやうな長い首を会計課の窓にのぞけて言つた。
わし駝鳥だてうなど大きな方も、みんなのしのし出掛けました。
林の底 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
駝鳥だてうはねのしろ扇
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
新公が、——もつとも今の新公の体は、駝鳥だてうの羽根の前立だの、いかめしい金モオルの飾緒だの、大小幾つかの勲章だの、いろいろの名誉の標章に埋まつてゐるやうなものだつた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
沙漠でくされた駝鳥だてうの卵
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
Oさん——あの口髭くちひげ駝鳥だてうの羽根だらう。
軽井沢で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)