養女むすめ)” の例文
「お甲に育てられた養女むすめでは、ろくな者であろうはずはないが、あのようなものと出会うても、このは口など交わしなさるなよ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十六七の頃から、彼女は下女達と交つて、客の前へ出るやうになつたが、家の養女むすめだといふのと、小作りの可愛気のある姿態ようすとで、大変客に可愛がられた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
折角、将軍の室へめとっていただこうと思ったわが養女むすめを、董太師に汚され、あなたに対しては、義を欠いている。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さうして生みの父母は……? ひよつとしたらお信さんはその時生中なまなか浪華亭の養女むすめになどなつたのを、そしてその為に生みの父母を失つて了つたのを、自ら悔い且つ恨んでゐたかも知れない。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
……まして新之助という男は、祭礼まつりの神輿をケシかけて、手前の家を、野原のように若者に踏み荒させ、そのごたくさまぎれに、養女むすめさらって行った悪い奴でございます。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『五ツの年から、今日まで育てて来た養女むすめだ。——あんな者に持って行かれちゃあ……』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おふくろにも、いつか話したことがあるだろう。あの……お甲の養女むすめさ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その養女むすめが、なんでわしらの話を窓の外で立ち聞きなどしていたのじゃ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
養女むすめのお高は、夕方、父の帰りのおそいのが何より心配だった。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この婦人が、浜中屋の養女むすめのお菊ちゃんだ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)